見出し画像

2020年9月16日,気がついたらもう33歳だ! これからも頑張ります,みなさまよろしくお願いします.

今年も無事に誕生日を迎えることができました.ひとえにいつもお世話になっているみなさまのおかげです,いつもありがとうございます🙇‍♂️ 

さっきも有働さん始めnewszeroの方々にお祝いいただき,その後落合塾の人々にもおめでとうメッセージをたくさんいただき,感謝感激雨霰でございます.

さて例年振り返っている誕生日記事.誕生日に抱負を書くのは大切なこと.それにしても9月から9月までと一年は年度の途中で毎年半端だと思うのも20数回目だろうか?

今日のトップの写真は大阪芸術大学広報誌『O+』vol.5から.記事は以下から確認いただければ,と思う.もう6ヶ月くらい前なのか,3月あたりの落合の話がよくまとまっている.

9月から3月くらいまでにあったことは年末の振り返りに記事を書いたのでそこにまとまっているような気がするんだけど↓ 他に書き漏らしたことがあれば書いていこうかと思いつつ,筆を取りました.

32歳中にあったことといえば,SXSW2020が中止になってから長いウィズコロナで半年が矢の如く過ぎていった.一年のうち半年をこうやって穏やかに過ごすというのも稀な経験だ.分刻みで予定が入って精神は死ぬほど忙しいのに,体は物理空間で硬直をしている.

この生活がいつから始まったのか考えてみれば,SXSW2020のNJIからだ.今は遠い3月.当時はオンライン・無観客をディレクションしていくことへの肌感が薄かったけれど,今はずいぶんそれが日常になった.NJIのディレクターをしていたから成長できたことも大きかったと思う.

ウィズコロナ・ポストコロナについて議論する中で(ウィズコロナという言葉もweeklyochiaiで安宅さんとのディスカッションで生まれたものだ)様々な議論を経て学ぶことが多かった.

4月になって新学期になって5月になって大学教員をやり始めて5年経った.研究室も引っ越して大きくなった.レーザー室もモーキャプ室もファブリケーションルームもウェット系の設備もディープ用のGPUサーバも,研究用の装備が揃ったラボに引っ越して,さぁ研究するぞという意気込みも春の緊急事態宣言でスロースタートになってしまったけれど,ラボが新しくなっただけでなく,組織も新しくなった.

やっとセンターを立ち上げて,機関の長になった.ここで研究へ! という感じになってきたのは僕の今年のいいところ.そのフィジカルな熱気がウィズコロナで静かな内的熱量へと転換されていっているのが,今年の特徴だと思う.ラボの人々も増え,卒業生も増え,活躍する人も増えてきた.30歳を超えて自分がやるべきこととの変化を感じながら,変わらないものは残していこうとも思うようになった.作品と知的興味は失ってはいけないし,逆に分野への愛は自分の中に留めておいてはいけない.年相応に支えていかないといけないし,幼心を忘れないところも残さなければならない.

オリンピック・パラリンピックは今年はなかったけど,落合が研究代表をやっているxDiversity(身体・認知の多様性に計算処理で向かい合うプロジェクト)はむしろこのコロナ禍で結束が高まった気もしている.

xDiversityはオンラインコミュニケーションに適応させながら,さらなる社会の多様性に向かって頑張ってる最中.3年経って,ずいぶんいい感じのセッションができるようになってきた.この調子で走り抜けて持続可能なものを作りたい.

7月になり万博のプロデューサーにも就任した.やりたかったナショナルイベントの大きな仕事.30代前半はローカルを頑張ると言ってきたから,ここに何かを結実させようと気を引き締めてやっている.

32歳,そういえば念願のYouTubeチャンネルを始めた.やっと自分のメディアの発信拠点を持つことに意味を感じている.Amanaさんの信頼できるスタッフさんに囲まれて,いつも楽しくコンテンツづくりができているような気がする.

32歳,そろそろ手作りの個展(作家とお手伝い2−3人で全部作る系)の個展をする最後の機会かもしれない,とマルイの個展ではすごく手作りの空間を作った.展示期間は9月27日まで.ぜひみんなに来て欲しい.

そういえば,今年のアルスはオンラインツアーになった.まだ見ていない方は見て欲しいなぁと思っている.ウィズコロナになってから授業も講演もオンラインだから動画編集を呼吸するようにする生活になった.

テクノロジーを前面に出すことに拘らなくなった.むしろ,自分の自然観に準じながら,何がテクニウムと自然の調停か.退廃した工業社会以後の自然は? 質量と非質量の間にあるものは? より,テクノロジーへの見方が変わった思うし,アートに対する距離が身軽になった.

8月の夏休みの前,体も精神もギリギリになった,そして,今ぞその時,『休みを取らずにひたすらすり減らして「自分の能力を殺していくための修養」』を終わらせることに決めた.もう何も残っていない.ここが新常態かつ今ぞ解放のとき,という天啓が来たので休みを取り,5年ぶりくらいにビジョンとか興味を練り上げるフェーズに入った.これは33歳の新しい日常だ.ここからはテンションを維持しながら1つ1つ目標を飛び越えていくフェーズに入る心構えが形成されつつある.以前読んでいた漫画にこの気分を表すいいフレーズがあったので引用しておく.

画像1

仕事は死を忘れるための道具とはよく言ったもので,狂った道具は精神を殺すのには適切だ.だからどうした.それでいいじゃないか.

今年も支えていただいているみなさまへの感謝を忘れずに,そして,原点回帰.

33歳は,私は私でなく私でなくもない:変わり続けることを変えず,作り続けることをやめない,の初心に立ち戻ってやっていこうと思う.

ビジョンステートメントは上の万博のやつにも出てくるけど綺麗に纏まっているかもしれない.

道具の目につく仕組みが徐々に消滅し,
最終的には波に磨かれた小石のように,
自然な形状を持つ何かが僕らの手に委ねられる.
これは素晴らしいことだ.
だが,それと同じように素晴らしいのは,
実際に機械を使用する人間の意識からも,
機械が少しずつ姿を消していくことだ.
サンテグジュペリの人間の土地に出てくる一節です.
自分が万博で担当するのは自然とデジタルの融和により,
そこで磨かれる命,芸術が見出される瞬間を見出し,
未来のビジョンを考えることです.
自分はこれまで,
波に磨かれた小石を拾い集めるように,人工物と自然物の融和し,
質量ある実体と,質量のない計算機の中の世界の間を反復し,
メディア芸術と計算機研究と表現活動を通じて,
デジタルネイチャーともいえる,技術生態系とともにある,名前のまだない新しい自然を探してきました.
新しい自然は多様な技術環境の上で,
人の身体的・認知的な多様性と親和し,
あらゆる現象を音楽のように共感覚化していくと信じています.
今ある分断を乗り越え,境界のない,
アニミスティックで,山紫水明な風景をもとに
指針や展望を作るために尽力していきたいと思います.
日本の,大阪の,万博の,2025年という時代性でしか結節し得ないような,
磨き・輝く命なるものを
物理的な空間やバーチャル空間という線引きに囚われず見出すことで,
世界に発信し,調和を形作る一助になりたいと思います.
そういったビジョンをここ日本から発信していきたい.
皆様のお力添えをどうかよろしくお願いいたします.

アニミスティックで山紫水明,音楽のような共感覚性.

最近は環境の話やweeklyochiaiでも様々な話ができて,組織と国と個人と,良好なハーモニーが作られつつある気がする.

画像4

五箇勉強会楽しかったし,内閣府の知的ビジョン専門委員会も楽しい.色々な人に囲まれているなぁとしみじみ

画像3

30歳を超えてから,いや27で教員になってからかなぁ,研究者やアーティストとしての個人的な側面だけでなく,チームや集団のことも重要だという思いが強くなった.経営するピクシーダストテクノロジーズはおかげさまで今年も大きくなった.下の動画では6分くらいで登場するし,今月も色々な取り組みに注目をしていただいた.

さて,33歳,どうしたものか,ウィッシュリストでも公開するか,とか思っていたところだけれどここでみなさまにお願いが!!!!

画像2

オーケストラのクラファンの集まりがピンチです.お誕生日のプレゼントがわりにぜひオンライン視聴か現場のチケットか、ご支援お願いします🙇‍♂️

迷ってる方は去年の様子はアルスのサイトから見れたり,

YouTubeでも予告編が公開されていたりしますのでご覧ください.


というわけで,今年も支えていただいているみなさまへの感謝を忘れずに,そして,5年間のすり減らしの末に新常態へ移行していこうと思っているので,今後ともよろしくお願いします!! 

要は,テンション高めでガリガリと目標を飛び越えていく行く一年へ.

私は私でなく私でなくもない:変わり続けることを変えず,作り続けることをやめない,

2020年9月16日 落合陽一


追伸:

ちなみに去年は下のnoteでした.毎年同じようなこと書いてるけど,だんだんシェイプされてきた感じがする.

「自然と調和するアートとテクノロジーのサイクルを作り上げ,人の多様性を拡張し,万物と共感覚の結びつきを持つような社会を作る」

この目標通りの一年だったような気がしますが,「社会が」と肩に力を入れるのではなく,自然体にこなせるように「環境を作る」くらいで,無為自然にことをおこなっていきたいと思っています.

ここから先は

0字
落合陽一が「今」考えていることや「今」見ているものを生の言葉と写真で伝えていくことを第一に考えています.「書籍や他のメディアで伝えきれないものを届けたい」という思いを持って落合陽一が一人で頑張って撮って書いています.マガジン開始から2年以上経ち,購読すると読める過去記事も800本を越え(1記事あたり5円以下とお得です),マガジンの内容も充実してきました.

落合陽一が日々見る景色と気になったトピックを写真付きの散文調で書きます.落合陽一が見てる景色や考えてることがわかるエッセイ系写真集(平均で…

いつも応援してくださる皆様に落合陽一は支えられています.本当にありがとうございます.